「とりあえず新商品をリリースして様子を見よう」
こんな会話を聞いたこと、もしくはしたことがないでしょうか?
顧客がどのように反応するか全く未知の製品や
サービスを試してみるなら、まずこのような質問が浮かんできますね。
私もこのように考えることがあります。
何故なら、いち早く顧客の反応を観察できるメリットがあるからです。
ただここに落とし穴があります。
それは、
「様子を見ることは100%成功するが、検証による学びが得られるとは限らない。」
ということなんです。
「様子を見る」いうことは、「Aという商品をリリースしたときに、顧客はこのような反応をした」という、データが得られることです。
この様子見は、必ず成功するでしょう。
しかし、以下の質問ような回答は得られるでしょうか?
●どういった顧客の話を聞けばいいだろうか?
●何を変えてしまうと顧客は怒るだろうか?
●追加できそうな機能に対してどのように優先順位をつければいいか?
●今は喜ばれているが、いずれ嫌われてしまうものは何か?
●次は何をするべきだろうか?
ここが落とし穴なんです。
「様子は見たけれど、だから何?」
という、次の一手が見えてこないのです。
もちろん、得られた反応から次の一手は考えられると思いますが、
その一手が正しいかどうか、またテストが必要ですよね。
ここが、非常に非効率になります。
本当にただの様子見であればいいかもしれませんが、
おそらくほとんどの方は、そこにコストや時間をかける余裕はないかと思います。
このように、「とりあえずやってみてどうなるか?」
という質問で思考していくことを「錬金術型」と名付けます。
一方、錬金術型に対して、「科学型」な考え方があります。
それは、
「Aという仮説があり、Bという実験をするとそこから何が学び取れるか?」
という質問から思考を組み立てていくプロセスです。
分かりやすく違いを示しますとこのような感じです。
●錬金術型:実験を試してみて様子を見る
●科学型:実験から何を学び取れるか考える
本当に、新規事業のスタートを早めたいならば、
科学型にいち早くシフトすることをお勧めします。
仮説を組み立て方には、様々な思考があるのですが、
今日は一つ紹介しますね。
●価値仮説
価値仮説とは。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
顧客が、あなたの商品を使うようになったとき、
本当に価値が提供できるか否かを判断できるもの
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば、このような仮説を立ててみます。
●私が提供するサービスは、顧客が求める価値を提供できており、
それは時間を割くに値するものである。
この仮説を証明するために実験の計画を組み立てます。
まず、顧客があなたのサービスに時間を使う価値があると
判断する場合何を指標にしたらよいでしょうか?
直接顧客にアンケートをとりますか?
もちろんこれもよいのですが、精度の高いデータがとることができません。
人間は、客観的に自分の感情を判断するのが極めて不得意だからです。
もう少し定量的にデータをとれる方法を検討してみましょう。
例えば、今日来てくれた人に対して、2回目の割引き券を渡して
どれくらい来てくれるかどうかを計測すれば、精度の高いデータが得られます。
価値を感じていないならば、割引きであっても来ないはずです。
そして、価値を感じたから来たor割引きだから来たと2つに分類することができます。
その後、本当に価値を感じてくださったならば、3回目も来てくれるはずです。
リピートしていただけるならば、
かなりの確率で価値を感じて下さっていると判断できます。
これならば、アンケートを取るよりも、精度の高いデータをとることができ、
仮説を検証することができますね。
いかかでしょうか?
様子見をする錬金術型よりも、先にこのような仮説を組み立ててから、
検証をする「科学型」のほうが、多くの学びを得られないでしょうか?
この仮説と実験の質が高ければ高いほど、新商品の成功確率は高くなります。
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